Nishiazabu rooftop project

港区の、以前我々が設計した集合住宅の屋上に、住人専用のラウンジを増築する計画。竣工してから3年たった建物にエレベーターや外部階段を増築するという、役所手続きや費用の面でもかなり大掛かりなプロジェクトであった。きっかけはオーナーの『東京の屋上をもっと豊かにしたい！』という言葉だった。NYなど海外にも不動産を所有するオーナーは都市における屋上利用の重要性、魅力をかねてより感じていたのである。東京でも屋上は空や緑、夜景を楽しむことができる、そのポテンシャルを活かしたいということだった。近隣広尾の緑豊かな環境を増幅させるよう、屋上の4周に新たにプランターを配し、周辺建物や風景に呼応して、中木、低木を配し、四季の変化を感じられるよう、樹種の選定にも気を配った。家具についても、ソファーやパーソナルチェア、パーゴラ付きのカウンターバーやテーブルと多様な場を設け、住人同士が適度な距離を保ちながら屋上ライフを楽しめるようにデザインしている。このプロジェクトによって、住人は新たな価値を手に入れることが出来るようになった。それは東京の中心で四季や広い空、風や雲を感じ、何よりプラーベートな空間での開放感やリラックスといった贅沢を身近に生活の中に取り込むことが出来るのである。これにより、この豊かさを共有する住人同士のコミュニケーションが生まれ、この建築への愛着が深まれば、このプロジェクトを実現させたオーナーの努力、意義は大変大きいと感じる。